宝塚大劇場花組公演『アルカンシェル』 ~パリに架かる虹~

2月11日(日)11:00公演 A席1階上手(チケトレ)
2月11日(日)15:30公演 S席1階上手(e-plus)
2月13日(火)11:00公演 S席1階センター(友の会先着)
2月13日(火)15:30公演 S席1階センター(ファンクラブ)
2月20日(火)11:00公演 A席1階下手(友の会先着)
3月19日(火)11:00公演 A席1階上手(チケトレ)
3月19日(火)15:30公演 A席1階センター(チケトレ)
3月20日(水)13:00公演 B席下手(チケトレ)
3月21日(木)13:00公演 A席1階下手(友の会先着)
3月22日(金)13:00公演 B席下手(ファンクラブ)
3月23日(土)11:00公演 A席1階ドセン(チケトレ)

サヨナラ公演なのにあんまり観に行けないなーと思っていたけど、最終週に追い込んで知らんまに11公演観てた。
2月の初日明けてすぐの公演は「あー、きっと色々ギリギリ間に合ったんだろうなー」という感じで。ほんまお稽古前に脚本仕上げてあげて(知らんけど)。
でも3月に観た時は、それぞれがあの時代をちゃんと生きて脚本の隙間を埋めていてよかった。

・柚香光マルセル登場の黒燕尾は眼福。横から見た時のご本人は本当にびっくりするくらい薄い(?)のに、燕尾服を着ても全く華奢な感じがしないのがすごい。それは燕尾服以外にも言えることだけど。柚香さんが常々言っておられるように体幹と筋肉の使い方なんだろうな。どうしてもトップになると痩せすぎてしまって衣装を着ても華奢な感じがする方もいるけど、そうすると女性感が出てしまう。その点でも柚香光は本当に男役に徹していたなぁ。がっつり刈り上げた髪型も素敵。
・初見からピエロの踊りが本当に好き(慰問の時含め)。いつもはどうしてもお顔が見たくてオペラを上げてしまうけど、ピエロだと純粋に踊りを楽しめるのもよかった。柚香光の踊りはその時の心情がビシバシ伝わってきて感動するのだけれど、今回ピエロのダンスを見て改めてそれを強く感じた。
・すごい細かいけど「パリにナチスが」の場面の号外の新聞の紙質が気になった。号外であの紙使うかな?ついでにペットボトル的なものが出てくるのも気になる。あの時代にあんなプラスチックあったんだろうか。それともあれはガラスなんだろうか。
・「たゆたえども沈まず」は本当にいい曲。柚香光の声がいいんだよなー。しかもどの場面でも歌への導入がすごく滑らか。
・柚香光の喧嘩の演技が好き。
・この公演がだんだん良くなってきた理由の1つは輝月ゆうまのねちっこさ、嫌らしいが増してきたからだと思う。もっと悪くてもいいくらい。だって実際のナチ親衛隊ってもっともっと冷酷で残酷だったんだから。柚香光退団後はきっと花組さん以外宝塚はあんまり観なくなるように思うけど、輝月ゆうま出演の公演は観たい。
・幕前でマルセルとカトリーヌが「さっきは御免なさない」とか言って踊りながらやりとりする場面は、最初の頃はセリフとかちょっとコント感があるよなーと思ってたんだけど、3月に観た時は自然な感じになっていてよかった。星風まどかの演技が全体的に自然になってきたのも観やすくなった理由の1つかと思う。
・楽屋を出て行く時の柚香光のトレンチコート姿が超キマってる。ここの「はい、はい」とか「わかってるよ」とかの言い方も男だわ。
・これもすごい細かいシリーズだけど、ホテル・ポンパドゥールで「PROST」って言ったあと、イブが「何て言ったの?」って言うけど、もう少しヒソヒソ声で言ってほしいな。流れがスムーズじゃないというか。もし観客に説明するためのセリフなら無くてもいいくらい。
・マルセルの部屋のカトリーヌがなぜアルカンシェルに入ったかのセリフだけやけに長いのは小池先生のこだわりなのか(笑)。確かに私も小学生の時に初めて宝塚を観たのは3階席でお芝居やショーの内容とかじゃなく、ラインダンスに強烈に惹かれた。で、また観たいと思って麻実れいの色気と大地真央のキラキラ具合にやられて本格的にファンになった記憶が。当時は当日券も結構あったし3階席は500円だったなー。新参者を取り込むにはやっぱりもう少しチケットが買いやすいほうがいいと思う。
・マルセルがタイ外すのはお約束で好き。これを追加してくれた柚香光に感謝。
・マルセルの部屋のキスシーンもマルセルが男で好き。カトリーヌの肩に2段階でがっつり顎乗せるのとか柚香光ならではだわ。「もっと燃やして燃やしつくてやる」という小っ恥ずかしいセリフも柚香光だからこそ小っ恥ずかしさを極限まで減らせているんだと思う。昔から小池先生はリアルな男女のやりとりを描くのは苦手という印象がある。

・マルセルの取り調べの場面は柚香光の美しさを味わえる。鞭でパーンってやられた時の打たれ方が本当に打たれているよう。
・マルセルがレジスタンスに入る時に歌う「🎵俺は名乗る レジスタンスーー」の「レジスタンス」の言い方が好き。
・慰問の場面のカトリーヌが歌う「待ちましょう」が心に沁みる。
・小池先生が恋愛を描けない問題だけど、マルセルが慰問から去る時のやり取りもちょっと違和感がある。この場面で愛する女性に「勇気あるなぁ」って言うかな!?連れて帰りたいのにそれが出来ないもどかしさをもう少し描いてほしかった。「勇気あるなぁ」って言うくらいならただガシっと抱きしめるだけでいいんじゃないかな。いや、それでも柚香光は最大限に愛おしさを表現してたけど。
・コンラートの歌から始まるサ・セ・ジャズの場面は好き。セリ上がりで登場する柚香光の頭の形の美しさに毎回驚いてしまう。
・爆破操作所のフリッツが電話に出た時の「ハッ、ハッ、ハッ」というセリフは難しいんだろうな。最初の頃は強烈な違和感があったけど、3月に観た時はさずが永久輝せあという感じで随分自然な言い方になっていてよかった。
・ジェラールとのやりとりを終えた後のマルセルとカトリーヌのやり取りで「ん?」とかちょっとうなづくマルセルが男!かっこいいわー。

・フィナーレのラヴィアンローズの柚香光の美しさよ。本当に発光している。娘役さんとの絡みもこれぞ花男の真骨頂。甘い、甘いわ。初日明け観た時は銀橋での歌い出しはちょっと稽古時間が足りなかったのかな?と思わないでもなかったけど、3月に観た時は安定していてよかった。
・これは本当に好みの問題なんだろうけどKAORIalive先生の男役群舞の振りが個人的にいまひとつ刺さらない。どうせならもっともっとオラオラでいいと思う。ちょっと小手先感があるというか(えらそう)。
・柚香光と星風まどかのデュエットダンスは至高。この2人ならどんな振りでも衣装でも最高のデュエットダンスにしてくれる。お互いの相手を思う心が伝わってくるからなんだろうか。まどかちゃんは娘役として常に控えめにしてるけど、デュエット終わりの拍手は完全に2人に対してだと感じてほしいな(おこぼれを頂いている、みたいな事を言ってたので)。毎回泣きそうになるけど泣いたらオペラが曇るので必死でこらえてたら、涙が鼻だけを通るようになったわ。

東京公演が更にどのように深化していくのか楽しみ。